考える力をつける夏休みに
早いものでもうすぐ8月。まもなくお盆休み。11日頃より帰省ラッシュが本格化するそうです。つまり、子どもたちにとっても本格的な夏休みと言うことになるでしょう。夏休みに入り2週間が経ち、お盆休みに入る前にぜひ考えてほしいことは、「考える力をつける」と言うことです。
1 子どもたちの未来は
社会の早すぎる変化、あふれる情報、先の見えない将来と言われる時代。ユーチューバーが子どもたちのあこがれる職業となった今。そして、だれも見たことがない社会に向かい突き進んでいく現在。成功モデルのない未来に向かう中に生きていく子どもたちにとって、何よりも大切なことの一つとしてあげられるのが、「考える力」です。
また、2020年は、東京オリンピック・パラリンピック開催の年であるだけでなく、2020年度より大学入試が変わります。また、2020年度より小学校では新しい学習指導要領が全面実施されます。そして、2021年度より中学校、2021年度より高校の学習指導要領も変わります。つまり、大学受験が変わるということは、高校受験も変わるということです。
2 「わからないからやらない」を無くすためには
さて、「考える力」を身に付けさせるためにどうしたらよいかと言うと、「自分で考えなさい」と言うことではありません。いきなり「自分で考えなさい」と言われても、「考え方の手順」がわからないと、考えられず、「わからないからやらない」となってしまいます。
大切なことは、「考える力」を身に付ける手順です。
3 「考える力」を身に付ける手順は
例えば「関ヶ原の戦い」。何年にどんなことが起きたという浅く広い知識を身に付けただけでは、「知っている」で終わってしまい、「考える力」につながりません。
「何年にどんなことが起きたの」(内容)⇒「何で起きたんだろう」(理由)⇒「そのあとどんなことが起きた」(影響)⇒「その結果どうなった」(結論)という「考え方の手順」が大切です。
問 関ヶ原の戦いとは何なの?(内容)
この事件は、1600年、徳川家康を中心とした東軍とそれに反対する石田三成、毛利輝元率いる西軍が関ヶ原で戦った。
問 なぜ関ヶ原の戦いが起きたの?(理由)
信長の死後、秀吉に関東に移されていた家康は、がまんにがまんを重ね、天下をねらっていたから。
問 関ヶ原の戦いによって何が起きたの?(影響)
天下分け目の戦いとなった関ヶ原の戦いを制した家康は、その後、征夷大将軍となり江戸幕府を開いた。
問 その結果どうなったの?(結論)
敵対する豊臣派を一度にやっつけることができ、家康は確固たる権力を手に入れた結果、その後明治維新にいたる前の、270年近くに及ぶ江戸時代が続いた。
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例えば「キョン」
問 「キョン」とは何?(内容)
中型犬ほどの大きさのシカ。千葉県で大繁殖。2002年は1000頭ほどが、2016年は、約50,000頭まで増加。
問 なぜ、そんなに増えたの?(理由)
2001年に閉鎖された勝浦の民間施設から1980年ころ逃げ出してから、天敵のオオカミやクマがいないことと、繁殖力が強いため急激に増加した。
問 急激に増えたためになにが起きたの?(影響)
駆除が追い付かず、生息範囲が山から住宅地まで広がってきている。
問 その結果どうなったの?(結果)
捕獲が追い付かず、14年間で50倍まで増えてしまい、今後は、住宅地に表れ花や草を食べ、フンをまき散らし、大声で鳴くばかりではなく、「マダニ」などの危険生物が「キョン」をとおし人間の命を危険に脅かすことにつながる。
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4 「考える力」を身に付けることは、「人に説明する力」を身に付けること。
「考える力」を身に付ける手順は、まさに「人に説明する手順」でもあります。言い換えれば、「考える力」をつけることは、「人に説明する力」をつけることにほかなりません。
今後も日本の人口減少が明確となり、ますます、諸外国の人たちと文化や国籍の違いを乗り越えてともに仕事をすることが当たり前となる時代が来ます。そこで大切なことは、「説明する力」です。「考える力」を身に付けることは、将来仕事をするうえで欠かすことのできない「説明する力」をつけることになります。
夏休みも、8月となり終わりが見えてきました。「考える力」をつけることは、「考える」習慣をつけることです。考え方の手順を守って実行すれば、必ずだれでも「考える力」「人に説明する力」がついてきます。「論理的思考力」は自然に身に付くものではありません。日々の積み重ねが「論理的思考力」を育てていくのです。